CMS導入に伴う多言語データ移行

Katsuya Katayose 片寄 克也(かたよせ かつや) ビジネス デベロップメント マネージャー 2021年11月2日 5 min read 5 min read
Multi-lingual data migration

こんにちは。RWSグループ 営業部の片寄(カタヨセ)です。 今回は、「CMS導入の際に伴う多言語データ移行」につについてお話させて頂きます。


WebCMS、CCMSに限らず新たなコンテンツプラットフォームを導入する際に、多くの企業はどのように既存データを移行させるか試行錯誤しています。
個人的な感覚ではありますが、データ移行において多くの日本企業は日本語(もしくは日本語と英語)のデータ移行は慎重に検討を重ねますが、一方で多言語データ移行についてはそれほど思案しない、といった傾向にあるように感じます。グローバル化の方針、自社における海外売上比率、海外サイトのPV数、潜在顧客のポテンシャル等を考慮すると多言語データ移行も慎重に検討すべきだと考えます。
ここでは新しいCMSを導入する際の多言語データ移行の方法とそのポイントをご紹介したいと思います。
 

多言語データの移行方法  


多言語データの移行方法として、大きく以下の3つが挙げられます。 
1. 既存コンテンツから手作業(コピー&ペースト)で新CMSに移行する
2. コンバーターを開発し、上記1のコピー&ペーストの負荷を下げ新CMSに移行する
3. 『既存コンテンツに対応する翻訳メモリ』を使って『新CMS上での翻訳プロセス』で多言語データを移行する(以下図1)
 
図1:翻訳メモリを活用した多言語データ移行


我々が推奨する方法は上記3です。翻訳業務に携わった人であるならば、上記3が工数・品質の面でも最も良い方法だということはすぐにご理解いただけるかと思いますが、CMS導入に関わるメンバーがこの方法の存在さえ知らないといった企業様もいらっしゃいます。
また、多言語品質の観点から考えると上記1と2の方法はお奨めできません。なぜなら既存データと新CMSではデータ構造がすべて同じということはあり得ず、新CMSのデータ構造に合わせたデータ移行処理を多言語ネイティブの観点から行う必要があるためです(文中のインライン要素の処理などは日本人では不可能です)。 

多言語データの移行方法のポイント 


では、『既存コンテンツに対応する翻訳メモリ』を使って『新CMS上での翻訳プロセス』で多言語データを移行する上でのポイントをご説明します。  

ポイント1:既存翻訳メモリの有無(アライン作業を行うかどうか)

まずは、「既存の翻訳メモリ」があるかどうかを確認しましょう。翻訳会社との契約内容によっては、翻訳メモリの所有権は翻訳会社側にあり、既存の翻訳メモリを入手できないといったケースも良く聞きますので注意が必要です。また、既存コンテンツに対応する翻訳メモリが無い場合は、「既存コンテンツから翻訳メモリを作成する(アライン作業)」といったステップを踏む必要があります(このアライン作業についてはまた後日)。
 
ポイント2:既存翻訳メモリの品質精度
次に、既存の翻訳メモリがある場合は「その翻訳メモリは、信頼できるものか」の確認が必要です。リリースされているコンテンツと翻訳メモリの内容が一致していない可能性がある場合は(たいていは翻訳メモリのメンテナンスプロセスの欠如が原因です)、多言語データ移行に際しその不確実な翻訳メモリをどう使用するかの分析検討が必要になります。
 
ポイント3:既存コンテンツに対する評価と新CMSで実現したい多言語品質
皆様は『既存コンテンツの多言語コンテンツの品質レベル』を認識されていますか?
最後のポイントは(これが最も重要です)、既存コンテンツに対する評価と新CMSで実現したい多言語品質を見える化させることです。
弊社のこれまでの多言語データ移行業務の経験上、既存の多言語化コンテンツを拝見すると、誤り・乏しい表現・用語・表現の揺れなどが散見されます。これは、長年試行錯誤の上で積み重ねてきたコンテンツだからこそ当たり前に起きうることです。
新CMSの導入目的には、「ユーザビリティーの向上」「リード獲得」「コストダウン&効率化」「ブランディング」等がありますが、汚い水(既存多言語コンテンツ)をきれいな容器(新CMS)に入れてしまった結果、これらの目的達成の妨げとなってしまった、といったケースもゼロではありません。
 
 
新CMSにおける多言語データ移行は、多言語コンテンツの棚卸の絶好の機会でもあります。
是非、多言語コンテンツの移行方法とその移行方法が自社の目標・要件とマッチするか慎重に確認・検討することをお奨め致します。
 

※製品やサービスについてのお問い合わせは、sales-jp@rws.com までお気軽にご連絡ください。

Katsuya Katayose
制作者

片寄 克也(かたよせ かつや)

ビジネス デベロップメント マネージャー

翻訳 x テクニカルコンテンツ業界に15年以上従事。DITA系CCMS (Tridion Docs)、TMS(翻訳管理システム)、多言語翻訳サービス、機械翻訳を担当。

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