DITA翻訳(ローカライゼーション)その2
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
こんにちは。RWSグループ、SDLジャパン営業部の片寄(カタヨセ)です。
前回のDITA翻訳の続編ということで、今日は再利用テクノロジーに潜む翻訳品質リスクの中から「単数系・複数系」のお話をお届けします。
日本語って構造化コンテンツに向いている?翻訳に向いている?
このブログ記事を書いていて、改めて思うのは「日本語は便利だなぁ」と「日本語は翻訳に向かない曖昧な言語だなぁ」といった、相反する二つの感情です。
例えば、日本語は時間の表記をするうえで「1」でも「100」でも「0.5」でも、単位表記は変わりません。1時間、100時間、0.5時間といった具合です。
その一方で、例えば「ファイルをダウンロードしてください」といった文章を見たときに、我々日本人には何も思いませんが、英語圏の方々はそのファイルが1つなのか、複数ファイルなのかの判断ができない文章を読むことに非常に違和感を覚えるそうです。「file」なのか「files」なのかはっきりしてくれよ、といった具合です。
つまり日本語は「単数・複数をあまり意識することなく再利用性を高められる言語」と同時に「単数・複数の取り扱いが重要な言語に翻訳しにくい言語」でもあるのです。
我々日本人は構造化コンテンツの情報設計をする上では、後者の「単数・複数の取り扱いが重要な言語に翻訳しにくい言語」ということを忘れてはいけません。
数字の間接参照・自動置換は便利だが!?
「製品Aと製品Bがあり、製品機能はほぼ同じ。スペックだけが違う」といった状況下で複数のマニュアルを制作する場合、DITAでのコンテンツ作成は大きなメリットをもたらします。スペックの違いは間接参照で取り扱う、あるいは出力の出し分けを行い、同じトピック・マップを使用して複数のマニュアルを作成するといった形で効率化を図ります。(図1)
図1 ひとつのトピックで複数製品をカバー
最近ではPLMとCCMSを連携させて、マニュアル内のスペックの数字をPLMから直接CCMSに入れ込むといったことも多く見られます。
「数字を入れ替えるだけで、何度も制作しなくて済むのは非常に効率的!」ではありますが、ここでもやはり翻訳の観点から注意が必要です。
図2
上記の図2をご覧ください。入れ替わる数字が単数 or 複数かによって翻訳が変わってしまいます。さらにロシア語にいたっては数字によって単位が格変化するというくせ者パターンもあったりします。
ここで言えることは、「数字だからどんな言語にも影響ない」といった誤認識を無くし、やはり翻訳を考慮して原文の執筆方法や運用方法を考える必要があるということです。
以下の図3は翻訳を考慮したひとつの執筆方法ですが、お客様ごと/コンテンツごとにご事情は様々です。このライティング手法が決して正解ではない点、ご注意ください。
図3
では、多言語(翻訳)を考慮した上で原文の執筆方法や運用方法を構築するにはどうしたらよいのか?
これは、原稿作成チームに「翻訳も考慮せよ!」の一言でカバーできるものではありませんし、一方で翻訳会社に「アドバイスください」といっても翻訳会社側は原文の執筆方法、運用方法、再利用戦略を十分に把握した上で対応する必要があります。
では、どうするのがよいか?
はい、「CCMSベンダー 兼 翻訳会社」であるRWSにお任せください。1社でこの点をカバーするノウハウ・実績がございます。翻訳も考慮して自社のコンテンツの情報設計・再利用戦略を行う際には、是非当社までお声がけください。
と、急に営業モードになってきたので、今日はこの辺で。
※製品やサービスについては、sales-jp@sdl.com までお気軽にご連絡をお願い致します。