DITA翻訳(ローカライゼーション)その1
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こんにちは。
RWSグループ 営業部の片寄(カタヨセ)です。 私からは、「DITA」をはじめとした構造化コンテンツのお話を中心に、様々な情報をお届けできたらと思います。
私の最初のブログ記事のテーマは「DITA翻訳」です。
※2021年3月に「DITA翻訳のベストプラクティスとは?」といったテーマでウェブセミナーを開催致しましたが、予想を反して多くの方にご参加頂き、また私がこれまで担当したウェブセミナー史上で最も反響が大きかったのでこのテーマを選びました。今日はその中の話のひとつを。
図1. 2021年3月開催「DITA翻訳のベストプラクティスとは?」ウェブセミナーより
再利用テクノロジーに潜む翻訳品質リスク
ご存知のとおりDITAのメリットの最大の特徴のひとつは「再利用」です。
オーサリングの工夫次第でマップ・トピックの再利用性を高め、コンテンツの制作に大きな効率化をもたらすのは周知の事実で、DITAを導入するユーザー様はこの再利用の工夫に力を注いでいらっしゃいます。その一方で翻訳の観点からはこの「再利用」には、実は様々な注意が必要です。
1文の中への再利用要素の使用は要注意!?
トピックの中の一部の要素を再利用するconref、間接参照を用いてトピックの再利用性を高めるKey、条件設定により出力情報を出し分けるditaval、1文の中にこれらの再利用要素を使用するには注意が必要です。
その理由は「日本語・英語では成り立つ文章でも、多言語では文法的に正しくない結果になる可能性が高い」ためです。ひとつ代表的な(ありがちな)例を出します。
図2. 英語→フランス語のDITA翻訳
図2では、文頭の名詞にkeyが使われています。様々な名詞のパターンがあるので、keyを用いて1つのトピックでまかなえるようにした、といった具合です。
ご覧のとおり、英語では問題ありませんが、フランス語へ翻訳する際は「この名詞が男性名詞か女性名詞かによって翻訳が変化」するため、フランス語はひとつのトピックで管理することはできません。
この場合は、多言語翻訳を考慮してどのように英語を執筆・作成すればよいのかを検討する必要があります。
(対策例)名詞をリストとして扱い、多言語翻訳に影響しないようにする(以下図3)
図3 変動する名詞をリストとして取り扱う
もちろん、フランス語に限った話ではありません。ドイツ語の場合、名詞が男性名詞、女性名詞、中性名詞かで冠詞の翻訳が変わります。(以下図4)
図4 英語→ドイツ語のDITA翻訳
多言語を考慮した情報設計はやはり重要ですね。
さて、皆さまお気づきでしょうか?例で取り上げた
には別の視点で注意が必要な翻訳リスクがあります。さて、なんでしょう?
正解は ...
「単数系・複数系」です。
このkeyは単数形が前提となっている文章で、もしもkeyで取り扱う名詞に複数形考えられる場合、hasはNGです。
では、次回は再利用テクノロジーに潜む翻訳品質リスクとして「単数系・複数系」についてのお話をお届けしたいと思います。
今日はこの辺で。
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